昨年末に文藝賞で一度限りの短篇部門の募集がありました
わたしも応募するつもりでしたけれど、ぜんぜん書けず
自分への発破かけのつもりもこめて、11月ごろからTwitterで『#文藝賞短篇部門応募してみた』という企画を立てました
もし落選したら、みんなで健闘をたたえ合いたいね
もし受賞したら、みんなでお祝いしたいね
という趣旨で、ハッシュタグつきで投稿してくださった方の作品を読みたい! というものです
先日受賞作が発表されたため、一足早く応じてくださった方の作品を読みました
そちらの作品の紹介と感想を書いて行きます
ネタバレを含むため、ぜひ作品を読まれてからわたしの感想へ進んでいただければと思います
作者:藤和
以下、わたしの感想
かわいらしいお話でしたね! わたしはハムスターを飼ったことがないのですが、それでも太朗の一挙手一投足が目に見えるような描写が印象的でした
頬袋に入れたまま寝ちゃうとかかわいい
一人称、かつ手紙という形式で書かれることにより、主人公が太朗へと向ける温かい眼差しがそのまま表現されていると感じます
日常描写も愛情に富んだもので、とりわけ主人公が太朗のためににんじんを克服するエピソードは『親馬鹿』という言葉が用いられるのにぴったりなほほえましいものと感じます
穏やかな生活の中にも起伏があり、かつ時間経過を感じさせるのは、太朗の年齢カウントだけではなかったように思います
主人公の置かれている状況が少しずつ変化すること、確定的な言葉はないにせよ主人公が抱いている小さな孤独感、そしておそらく手紙を受け取る後輩たちも年々違う人になっているだろうと予感させる、どこか静かな物哀しさのような空気感がとてもキレイです
ラストはちょっとびっくりしましたがw
なるほど、たしかにそれは『太朗のひまわり』だわ
主人公と太朗の間にあったであろうしっかりとした絆が、そうした形で実ったと考えたら、毎年の開花を願いたくなるかもしれないですね
また、ハムスターとしては長命だったことから、いっしょに太朗を看取れた気分にもなれてとても美しい終わり方だと感じました
読めてよかったです、藤和さん、ありがとうございました!
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